ショート動画プラットフォームのTikTokが、フォロワーに一斉にメッセージを送信できる新機能「掲示板(bulletin boards)」のテストを開始したとTechCrunchに認めました。この機能は、ブランドやクリエイターがフォロワーに向けて公開の一斉メッセージを共有できるもので、2023年にInstagramが導入した「ブロードキャストチャンネル」機能と非常に似ています。
Instagramの「ブロードキャストチャンネル」とは?
今回のTikTokの新機能「掲示板」を理解するために、まずはInstagramの「ブロードキャストチャンネル」について簡単に説明します。これは、クリエイターやブランドがフォロワーに向けて、一方的にメッセージを配信できる機能です。通常の投稿やストーリーズとは異なり、チャットルームのような形で最新情報や裏側コンテンツを共有できます。
ブロードキャストチャンネルの特徴は、メッセージを投稿できるのはチャンネルの作成者だけであり、フォロワーは絵文字でのリアクションしかできない点です。これにより、クリエイターはフォロワーとの距離を縮めつつ、情報発信のコントロールを保つことができます。多くの有名人やブランドが、ファンとの直接的なコミュニケーションツールとして活用しています。
TikTokの新機能「掲示板」はなぜ必要?
TikTokが今回テストを開始した「掲示板」機能は、Instagramのブロードキャストチャンネルと非常によく似ています。なぜTikTokはこのような機能の導入を検討しているのでしょうか?
その背景には、クリエイターとフォロワーの「より直接的なエンゲージメント」へのニーズがあります。通常の動画投稿やストーリーズでは、タイムラインの流れが速く、重要な情報が埋もれてしまうことも少なくありません。しかし、「掲示板」を使えば、クリエイターやブランドは最新情報や舞台裏のコンテンツを、フォロワーに直接、確実に届けられるようになります。これにより、フォロワーのエンゲージメントを高め、コミュニティ意識を醸成することが期待されます。
Instagramとの類似点と目的
TikTokの「掲示板」機能は、Instagramのブロードキャストチャンネルと同様に、掲示板の作成者のみがメッセージを投稿でき、フォロワーは絵文字でのリアクションに限定されています。テキスト、画像、動画の投稿に対応しており、クリエイターやブランドは、ストーリーや通常のTikTok投稿とは異なり、掲示板を通じてより直接的に最新情報を共有できます。また、自身のコンテンツをフォロワーに直接送ることで、コンテンツの宣伝にも活用できるとのことです。
この機能は、ThreadsユーザーのChristina Garnett氏によって最初に発見されました。初期のテスト参加者には、People誌、パリ・サンジェルマンFC、ジョナス・ブラザーズといった有名アカウントが含まれていると報じられています。
TikTok is testing a new messaging tool called “bulletin boards,” the social network confirmed to TechCrunch on Friday. The feature lets brands and creators share public, one-to-many messages to their followers. Bulletin boards are pretty similar to Instagram’s broadcast channels feature that launched in 2023.
引用:TikTok is testing its own version of Instagram’s ‘broadcast channels’ – TechCrunch
(TikTokは「掲示板(bulletin boards)」と呼ばれる新しいメッセージングツールをテストしていると、金曜日にTechCrunchに認めた。この機能は、ブランドやクリエイターがフォロワーに公開の一斉メッセージを共有できるもので、2023年にローンチしたInstagramのブロードキャストチャンネル機能とかなり似ている。)
現時点ではテスト段階の機能であり、TikTokがこれをより広範囲に展開するかどうかは不明です。将来的には、Instagramのブロードキャストチャンネルのように、投票機能などのさらなる機能が追加される可能性も考えられます。
ソーシャルメディア間の機能の模倣と競争
今回のTikTokの「掲示板」機能の導入は、ソーシャルメディア業界における「機能の模倣」の最新事例と言えるでしょう。ソーシャルメディアプラットフォームは、ユーザーを惹きつけ、滞在時間を延ばすために、競合の人気機能を積極的に取り入れる傾向があります。
過去には、2022年にTikTokがInstagramに対抗して「ストーリーズ」機能や写真投稿を導入した例があります。もちろん、Instagramも2020年にTikTokの成功を模倣して「リール(Reels)」機能をローンチし、ショート動画市場に本格参入しました。このように、各プラットフォームが互いの人気機能を参考にしながら、ユーザーのニーズに応え、自社の強みを強化しようと競争しているのが現状です。
まとめ:TikTokの「掲示板」がもたらす変化とは
TikTokがテスト中の新機能「掲示板」は、クリエイターやブランドがフォロワーとより直接的にコミュニケーションを取るための強力なツールとなる可能性があります。Instagramのブロードキャストチャンネルとの類似点は多いものの、TikTok独自のクリエイティブな表現やコミュニティ形成の文化に、この機能がどう融合していくのかが注目されます。
まだテスト段階の機能であり、今後の展開は不透明ですが、もし広く導入されれば、TikTok上での情報発信やプロモーションのあり方に新たな選択肢が加わることになります。ソーシャルメディアの進化は常に、既存の機能の改善と、他社の成功事例からの学びによって推進されています。今回の「掲示板」も、TikTokがさらなる成長を目指す上での重要な一歩となるかもしれません。
記事情報元:https://techcrunch.com/2024/06/27/tiktok-is-testing-its-own-version-of-instagrams-broadcast-channels/”” target=””_blank”” rel=””noopener””>TikTok is testing its own version of Instagram’s ‘broadcast channels’ – TechCrunch